漫画&アニメ化も話題の『終末ツーリング』に描かれる終末後の日本。果たしてこの旅の舞台は「いつの時代」なのか――という疑問を、原作の描写から考察します。
物語では、文明が崩れた“空白の時代”を少女たちがバイクで巡りますが、具体的な時代設定は明かされていません。だからこそ、舞台となる日本の「いつ」が気になる人も多いでしょう。
この記事では、登場する廃墟の風景・旅のルート・インフラの状況などを手がかりに、「終末ツーリングの世界」がどの時代かを推測し、「その先にある日本」の姿を読み解んでいきます。
この記事を読むとわかること
- 『終末ツーリング』の舞台となる時代背景と世界観
 - 作中描写から推測される“終末後の日本”の姿
 - 文明崩壊後に残る希望と再生のメッセージ!
 
1. 終末ツーリングの舞台は“文明崩壊後”──まず結論
『終末ツーリング』の世界は、明確に「現代日本の延長線上にある、文明崩壊後の時代」として描かれています。
作中では社会やインフラが失われ、人類の姿はほとんど確認できません。残っているのは、かつての観光地や都市の遺構だけです。したがって、この作品の時代は“現代よりも後の未来”であることが確実です。
原作者のさいとー栄氏は、物語の具体的な年代を公表していませんが、アニメ版・漫画版ともに、現代技術の名残が強く残ることから「21世紀末から22世紀初頭あたり」と見る考察が有力です。
1-1. 原作で明示されている“文明崩壊後”という設定
『電撃マオウ』掲載時の公式紹介文でも、「滅んだ日本を少女たちが旅する」と説明されています。
すなわち、作品世界は“文明が崩壊した後の地球”であることが明示されているのです。廃墟となった観光地、自然に覆われた都市、電力の途絶などが、文明崩壊後の描写を裏付けています。
1-2. 少女たちが「地上へ出る」描写から読み取る時代
物語冒頭で、主人公ヨーコとアイリは「地上へ出る」と語ります。この表現は、彼女たちが何らかのシェルターや地下居住区に暮らしていたことを示唆しています。
このような設定は、戦争・環境崩壊・感染症などにより地上が住めなくなった未来社会を連想させます。したがって、舞台は“長期間の人類不在を経た未来の日本”である可能性が高いと考えられます。
2. インフラ・風景から読み取る年代の手がかり
作中には、実在する観光地や都市が数多く登場します。箱根・横浜・秋葉原・有明など、現代日本を象徴するスポットが舞台です。
しかし、そこには人影がなく、建物は崩壊し、植物に覆われています。つまり、文明が途絶えて“数十年以上の時が流れた後”の姿が描かれているのです。
2-1. 廃墟となった観光地・都市構造の描写
第1話の舞台である箱根では、観光施設が完全に機能を停止し、ロープウェイの支柱やホテルの残骸が描かれています。第2話の横浜では、かつての港湾都市が自然に還る様子がリアルに再現されています。
これらの描写から推測すると、社会崩壊から100年程度の年月が経過していると考えられます。
2-2. 使用バイクや交通インフラの状態からの推測
ヨーコとアイリが使用するバイクは「ヤマハ・セロー225を電動化したモデル」です。原作中では燃料の供給が途絶えているため、バッテリーを利用した電動バイクが使われています。
この設定は、現代の電動モビリティ技術を基盤としており、世界崩壊後もその技術だけが残ったと解釈できます。すなわち、崩壊は“電動交通社会が定着した後”に起こったものと推測されます。
3. “いつの時代”かを左右する3つの可能性
『終末ツーリング』の時代を特定するには、いくつかの仮説が考えられます。以下の3つが、読者や考察者の間で特に有力なものです。
3-1. 近未来シナリオ(数十年後の日本)
現代技術が多く残っている点から、21世紀後半から22世紀初頭の“近未来”と見る説です。
建築物や都市構造がほぼ現代と同じであることからも、崩壊後の経過時間は長くても数百年ではなく“100年前後”と考えるのが妥当でしょう。
3-2. 遠い未来の“再生期”としての日本
別の見方としては、人類が一度滅び、再び地上に戻りつつある“再生期”の未来という仮説もあります。
「地上へ出る」というセリフや、主人公たちが現代の遺物を“知らない文化”として扱う点は、過去から“何世代も経過した後の文明再建期”を想定させます。
3-3. ファンタジー的時代設定としての曖昧さ
作者は具体的な年代や原因をあえて伏せています。これは、現代社会の延長線としてではなく、読者それぞれが想像できる“終末後の地球”としての普遍性を重視しているからです。
この“曖昧さ”こそが、『終末ツーリング』の世界観の魅力といえます。
4. 時代設定を探るための原作・描写チェックポイント
作中の細部には、時代を推測するためのヒントが多く隠されています。
4-1. 登場する技術・電動バイクなどの仕様
バイクはヤマハ・セロー225を改造した電動仕様で、再生可能エネルギーを活用する設定です。バッテリー交換や太陽光充電の描写は、持続可能社会がかつて存在していたことを示しています。
4-2. 旅のルートと地名:箱根・横浜・三沢基地など
原作では関東から東北方面へ北上するルートが描かれています。箱根、横浜、秋葉原、三沢など、実在地を忠実に描くことで“かつての日本”のリアリティを保っています。
4-3. 人類・生存者描写と時間の経過の示唆
主要人物以外に人間の姿はほとんど登場しませんが、廃墟に残る生活痕跡や動物の存在が、人類滅亡からある程度の時間が経過していることを示しています。
5. なぜ「いつの時代か」が重要なのか?終末後の日本が語るもの
本作で時代設定が明示されないのは、単なる演出ではありません。それは、読者に「もし世界が終わった後、自分ならどう生きるか」を想像させる装置でもあります。
5-1. 時代設定が物語のテーマに与える影響
“終末”という舞台設定は、現代人の生き方や価値観を照らす鏡です。どの時代であれ、旅を続ける少女たちの姿は希望と再生の象徴として描かれています。
5-2. “終末”と“旅”が結びつく意味—人類の記憶と再生
旅の中で少女たちは、過去の遺産や文化を見つめ直します。それは滅びた文明への哀悼であり、また再出発の儀式でもあります。
つまり、『終末ツーリング』は単なる旅漫画ではなく、「記憶を継承する物語」なのです。
まとめ:終末ツーリングの世界と“いつの時代か”を整理して
『終末ツーリング』の時代は、明示的ではないものの「現代文明が滅びてから数十〜百年後の未来」と推測されます。
崩壊の原因は語られませんが、自然と技術が共存する穏やかな世界が広がっています。そこに描かれるのは、失われた文明の中に残る“人間らしさ”の追求です。
終末後の日本を巡る旅は、私たちが今の時代をどう生きるかを静かに問いかけています。
この記事のまとめ
- 『終末ツーリング』は文明崩壊後の日本が舞台
 - 時代は現代の延長線上にある未来と推測される
 - ヨーコとアイリが旅する廃墟は実在の観光地
 - 電動バイクなど現代技術の名残が描かれている
 - 具体的な年代は不明だが100年後前後の可能性
 - “地上へ出る”描写が人類再生の兆しを示す
 - 終末後の旅は希望と記憶の再生を象徴
 - 時代設定の曖昧さが物語の普遍性を生む
 - 未来を想像し、今をどう生きるかを問う作品
 

  
  
  
  

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